九州橋頭堡5



「暗殺毒ヘビ作戦」

「コウモリマンです」
受話器を取る泥棒田コウモリマン。
「俺だ!!貴様しか頼む者がおらん。敵賊軍を討伐しろ。徹底的にな」
動乱の中、外道川首相は泥棒田コウモリマンに逆賊一味の討伐を命じた。
「お任せ下さい。太陽王の前では雑魚に等しいでしょう」
そう、豪語したコウモリマンは、執事に言った。

「予定通り、民衆に示威のためパレードを行う」

泥棒田コウモリマンの悪政で、民衆の叛意は高まりつつあった。
コウモリマン自身もそれを知っており、コウモリマン自ら手兵を率いてパレード
を行うことで民衆を押さえることを計画していたのである。

それから2時間後のことである。

泥棒田コウモリマンが乗車する、豪奢な外国製オープンカーが、「幽霊館」を出た。
その周囲を護衛するのは、ジープに乗ったコウモリマンの部下たちである。

自信満々でコウモリマンが後部座席にふんぞりかえり、その横に執事が座る。

賊徒など、どうと言うことは無い。
そう信じていた。

パレードを見守る群衆に中に、眼光鋭い男たちがいた。

「来ましたぜ」
「うむ、予定通りだな」
リーダー格らしき男はそれを聞いてうなずいた。
「作戦開始だ」

天高く日は昇り、素晴らしい天気だった。
上機嫌の泥棒田コウモリマン。

その時、執事が魔法瓶からお茶を差し出した。
「お茶でございます」
コウモリマンは満面の笑顔で受け取ると、それをグッと飲み干した。

・・・苦い。
何だろう。この味は。

そう思うと、コウモリマンは執事に聞いた。
「このお茶は?」
執事は答えた。

「今朝、コウモリマン様のファンだと言う方が、貴重な外国のお茶を下さったのです」
「ふむう・・・ファンとな」
「ええ、お知り合いだとか」
「名前は?」
「明智・ブルータス・オズワルド8世秀秋こと津田三蔵シュタウフェンベルク大佐と言う方です」

なんと、長い名前なのだろうか・・・覚えにくい・・・。

「???知らないなあ・・・それにしても良くそんな長い名前を覚えたものだな」
そう執事に答えた瞬間。泥棒田の胸に激痛が走った。
「!!!」
息ができない。
「く、苦し・・・」
うめいて嘔吐し始める。
「コウモリマン様!?」
執事が主人の手を取る。脈が乱れている。
「こ、これは・・・」

その時であった。

ズキューン!!ズキューン!!
突然、銃声が鳴り響く。

「何だ!?」
ジープに乗っている警備兵が叫んだ。
「あっ!!」
警備兵が見ると、執事が銃弾の直撃を受けてのけぞるのが見えた。
「暗殺だ!!」
どこかで、狙撃銃で銃撃を行っているようだ。
「馬鹿な」

すると、群衆の中からみすぼらしい服装の男が出てきた。
「止まれ!!」
威嚇しようとしたが、遅かった。
男は、手に火炎瓶らしきものを持っており、投擲したのだ。

「グワーッ!!」
護衛のジープのうち、一台が火炎に包まれる。

「曲者だ!!」
暗殺者は、ピストルで射撃を始める。
警備兵も射撃を始め、銃撃戦が始まった。

暗殺者は一人では無かった。
さらに、バズーカを持った男が現れ、泥棒田の車を狙い、発射した。
しかし、弾は外れ、他の護衛が乗るジープに命中。爆発を起こした。
そして、対戦車ライフルを持った者も射撃を始め、泥棒田の車に命中。貫通した。

混乱は、さらにひどくなる。

突然空から、一機の飛行機が飛んできたのだ。

それは、旧軍で使われた戦闘機らしきものであった。
尾翼には、「屠龍小僧」と書かれている。

「屠龍小僧だ!」
群衆は恐れおののいた。
屠龍小僧・・・。それは、旧日本軍の戦闘機に乗り天誅を加えるテロリスト・義賊である。
それが、現れたのだ。

グーンと戦闘機はスピードを増し、そして泥棒田コウモリマンが乗る車に、機銃掃射を行う。
かなりの腕前のようである。
機銃弾は車に吸い込まれるように命中し、ついにコウモリマンの車は爆発、炎上した・・・。

「コウモリマン様ー!!」
護衛兵の叫び声が聞こえる中、黒幕らしき男は群衆の騒ぎの中、足早にその場を去る。
次の行動を起こさないといけないのだ。それが、「霊夢」のお告げなのだから。
(見事だ佐東・・・。作戦通りだな)
そう心中でつぶやくと、男は走り出した。

彼の名は、名探偵 長江 清見と言った。



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