九州橋頭堡43
「趨勢決す」

門司港の米・外道川軍はついに壊滅した。
破壊された市街地の炎は、しばらく鎮火しなかったと言う。
それは、九州地方の戦いの趨勢を決したことを意味した。

戦意を失った外道川軍の兵士らが、武器を捨てて、次々に
白旗を掲げて投降し始めていた。

後方地区においても、山賊まがいの者や、雑軍の残党兵らが
掃討されて行くことが運命つけられていた。

その過程で、真・日本国軍は得難い宝を手に入れることになる。

蜂起した雑軍の中でも、兵器製造能力を有していた、村本軍の
アジトを無傷で接収することに成功したのである。

この、村本軍工廠こそ、規模は小さいながらも、旧軍の兵器を
修理したり、それを元に火砲等を独自に開発している技術が有り
それを接収することで、兵器の製造もある程度できることを意味
していたのである。

村本系兵器の設計書は、全て押収されることになる。
そして、将来の独自兵器体系の基礎となる可能性もあった。

風呂戸中将らは、旧村本軍関係者の中から技術者を優遇することで
兵器生産を行わせることを考えていた。

一方、米軍、外道川軍はこの戦いで大きな損害を受けた。
マッカーサー将軍は、真・日本国軍を山賊の類だと誤認していた
ふしがあり、対応が後手後手に回ってしまった。
また、九州各地で群盗の類が一斉蜂起する等、信じられない事態が
発生したことも敗因と言えた。

すでに朝鮮半島で大きな戦いを演じている中で、日本国内での戦争は
米軍の作戦を根底から破壊する可能性をはらんでいた。

再建中の外道川軍は、この戦いで、装備、組織に甚大な打撃を受けた。
この打撃から立ち直ることはできず、以降の戦いでただ圧倒されるだけ
となる状況となる。

また、最大の問題は、日本各地で住民反乱が多発し、治安が悪化したこと
であろう。
治安の悪化により、各地の基地や空港、港湾に暴徒が襲撃を加える事態が
発生し、軍事行動に大きな支障があった。
補給物資の略奪、窃盗も重大な問題となる。
これらの住民反乱は、真・日本国のスパイが関与した可能性もある。

かくして九州地方の戦いは終了した。

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