九州橋頭堡25

「スーパー・イラン帝国」

スーパー・イラン帝国・・・。

今、北九州各地で真・日本国軍や米軍と交戦状態にあるこのスーパー・イラン帝国に
ついて、記さねばならないだろう。

北九州に突然、現れた武装組織である。
現地の武装勢力で、最大の人員を抱え、旧日本軍の廃棄武器を入手して装備して
いることが判明している。
人員のほとんどは、日本人の現地民であるが、巨大鉄像を崇拝する土着宗教を崇拝
しており、土着宗教が母体であるとされる。
指導層は、戦国時代にイランと思われる地域から入国した、南蛮人の子孫と言われる。
祖先の意思を次いで、イラン帝国を名乗ったと言う。

江戸時代から、地下宗教として存在していたが、太平洋戦争の日本占領後に、旧軍
の武器庫から大量に武器を奪いだしたことで、武装化された。

また、本土決戦用に、民間で武器の自作を旧軍が指導していたことが裏目となり、
独自の武器を密造する技術を習得。他の雑軍に技術を提供していたと言う。

その本拠地こそ、竜王山地下本堂である。

巨大鉄像出陣の指示を出した指導者こそ、副棒案 八貫であった。

八貫自ら、緑の宗教的な服を纏い、黄金の剣を持って本堂から出て来た。
一斉に、金属製の楽器が、アジアゾウの排泄音のような音を激しく奏でる。

「整列ー!!」
緑色の、作業服のような軍服を着用しているのが、スーパー・イラン軍の兵士である。
彼らは一斉に整然と並んだ。

「大教祖大帝王様のおなーりー!!」
衛兵が叫ぶと、皆一斉に敬礼した。

八貫の両脇にいる、二人の将軍。
それが、政治総裁・佐東将軍と、名探偵裁判長・長江 清見であった。
彼ら2名の副将が、八貫の指令の元、今回の事件を起こしたのである。

「我等の切り札である巨大鉄像が、交戦中であります」
佐東将軍が報告した。

大教祖大帝王・副棒案 八貫は、白髪の髭をさすりながらうなった。

「他の雑軍も頼りないのう。ここはワシが出陣するしかなかろう」

「大教祖大帝王様が!?」「御出陣を?」
いぶかしがる2人。

「帝王であるこのワシ自ら出陣することで、兵の士気も上がるわい」
「さすがですな。感服しました」
うなずく両将。

「全軍、出陣せい!!」
佐東将軍の号令のもと、荷車や兵隊が隊伍を組んで動き始めた。

地下本堂を出た、スーパー・イラン軍本隊は、飯塚市内に向けて移動を始めた。
その数、1万・・・。

「八貫様じゃ!!」「大教祖大帝王様じゃ!」

古くからスーパー・イラン帝国を夢見ていた信者達は、土下座して道を譲る。

神輿のようなものに座乗し、黄金の剣を振りかざす雄姿に、思わず民衆からどよめき
の声がした。

「さすが、大教祖大帝王様!!」

「カーカカカ!!日本中がワシに降伏する時は近いぞ!!」

副棒案 八貫の栄光は、目前に迫ると思われた。


前へ  逆上陸HOME  次へ

inserted by FC2 system