大 阪戦役2

「大阪港攻略」


鳥羽・伏見の戦いと同時期に起きた阿波沖海戦により制海権を手に入れた真・日本国は次の一手へ動き出した。
「阿波沖も苦労しました」
「だろうな」
猫舌と明石屋斬馬海軍中将は会話をしていた。

阿波沖海戦はどんな戦いだったかとわかり易く言うとこうなる。

まず、地底軍が紀淡海峡を越えて和歌山県に上陸。
これを攻撃する為、大阪湾の米艦隊が出動。
魚雷艇などの小艦艇中心の地底軍艦隊が米艦隊を迎撃、地上の科学では理解できない
超技術を流用した魚雷艇に苦戦、米艦隊は被害を多数出しながらも上陸船団を攻撃。
この攻撃により大阪に攻め込んだ地底軍は補給が切れ米軍の反撃で大損害を受ける。
米艦隊は大阪港に戻らずそのまま突きって由良港へ転がり込んだ。

損害の回復しきっていない地底艦隊を、呉を出港した小艦艇や特設艦艇中心の真・日本国艦隊が
攻撃、これを撃破したのが阿波沖海戦だ。
この時同時に山陽道軍が神戸を占領、尼崎まで兵を進める。
ちなみに猫舌はこの時京都で戦っていた。


「では、大阪港を攻略しますか」
「うむ」
時計を見て明石屋中将は作戦の指示を出し始める、猫舌は戦艦「武蔵」の作戦室を去った。

大阪港周辺は入り組んでおり魚雷艇の襲撃や上流から機雷を放流するには適している。
これらを警戒しながら港を占領した。
今回は特に大した敵も出ずに粛々と作戦は進行した。


「猫舌の手下が大阪港を占領した?わかった」
電話を切りパラッチ大将は溜息をついた。
(遂にヤツらが大阪に上陸したか…)
現在、米・外道川軍は部隊の再編中であった。
第一次大坂攻防戦で複数の師団が戦闘不能になり、
補充の人員を要請したもののまだ到着までは時間がかかる。
予備兵力として残しておいた3つの師団が防衛の鍵となるだろう。

まず、パラノウィッチ中将の第893歩兵師団だが彼の部隊は予備師団で装備が貧弱だが
倉庫に眠っていた2.36inバズーカを大量に支給したので大した装甲車両の無い真・日本国軍には有効だ。
それに中将は来日経験があり日本の事にも詳しいので大丈夫だろう。

次にジューン・ヤオーイ中将の第427歩兵師団だがこの部隊は旧式装備だが士気が高い。
『マッキンタイア何するものぞ』と息巻いていた為、韓国から日本へ回された。
勇猛なのは良いのだが突撃癖があるのが少し心配だ。

最後にスカンク・エイプス中将の第555師団だがこの部隊はなんというか戦力としてあまり当てにできない。
なぜなら獣人で編成されていて、隊員はすべて猿人で簡単な指示しか聞かない。
人員不足でなければそもそも編成すらしなかっただろう。

何故全員中将なのに師団か?
第一次大阪攻防戦で彼らは軍団を率いていたのだが、その部隊が戦闘不能に陥ってしまい
戦う事を熱望する彼らに代わりの部隊として師団を宛がったのだ。

外道川政権の保安隊が居るが、保安隊内に猫舌シンパがいる可能性があるのであまり当てにできない。
彼らにはまず、こちらが再編成が終わるまでの間、時間稼ぎをしてもらう事にしよう。


「閣下、あまり顔色が優れないようですが?」
参謀長のコルテック・ハリケーン少将が心配そうに私を見た。
彼は科学者のような格好で逆台形の頭をして額にNの刺青が彫ってある。
「まあな、ここのところ疲れることばかりでな…」
私は顔を引き締めなおした。
地底人といい猫舌といいどうしてこう問題を起こすのだか…。


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