大 阪戦役1

「三者三様」

後に第一次大阪攻防戦(大坂夏の陣とも)と呼ばれる戦いで和歌山市に上陸した地底エンバウーラ軍を
阿倍野区付近で迎撃、米・外道川軍側も関西地方に於ける殆どの戦力を集中し
これを撃退・痛撃せしめたが、その結果出来た隙に真・日本国が鳥羽・伏見の戦いを仕掛けて京都市を奪取。
度重なる戦闘で疲弊した結果、和歌山市に居座る地底エンバウーラ軍を撃破出来ずにいた。


大坂城

大坂城は本土決戦で損傷したがそれを修復および要塞化し、米軍の関西支配の拠点として使われていた。
「四国から撤退するべきか…」
関西方面連合軍司令官ナニウォ・パラッチ大将は悩んでいた。
現在米・外道川軍は四国の南岸にはイサアーク・オジモフ・フランク中将が居るが
彼は第一次大戦の英雄の一人でありあの傲慢な英軍将校マッキンタイアの友人であり
機甲戦のエキスパートである、彼は緒戦の高知平野の戦いでは十八番の機甲戦で
地底エンバウーラ軍を追い詰めたが、山岳戦や洞窟戦になるとめっきり駄目で苦戦していた。
現在四国方面の連合軍司令官は彼になっているが、指揮系統的には在日国連軍(と言っても
外道川軍と米軍だけだが)司令官でもあるパラッチ大将の下である。
ちなみに彼は国連軍の中では2番目の席次であり、1番目は無論マッカーサー元帥で
3番目はマッキンタイア大将である。

「あの傲慢な男だけには絶対に指揮権を渡すわけにはいかない…」
このまま戦果があげられないままでは彼が更迭され在日国連軍の指揮権まで
マッキンタイアに握られる恐れがある。
マッキンタイア大将と英情報部は噂では真・日本国との講和を模索していると言う。
そんな事になったら本土決戦で流された米兵の血はなんだったのかと言う事になる。
それを防ぐ為にもここで何かしら手を打たないといけない、彼の苦慮は続く。


尼崎

一方、猫舌も心配事が無いわけではなかった。
まず四国の事だ。
瀬戸内海こそ制圧したものの依然四国側は地底エンバウーラ軍が占領しており、
逆襲を受けて山陽道を攻撃されかねない。
その為、兵力の一部を山陽道に割かなければいけない。
これから大阪を攻めるのにその途中で地底軍の攻撃を受けたら中国大返しの逆をやらなければいけなくなる。

次に「信濃」の事だ。
現在「信濃」は由良港で修理中である。
そして由良港は米軍の基地でもある。
真・日本国の工作員「坂友 龍馬」が解体工事と称して再就役工事を行っているが
仮に修復が無事に済んでも問題はどうやって米軍監視の中「信濃」を脱出させるかである。
他にも頭の痛い問題がある、地底軍が近頃南下しているというのだ。
和歌山市に上陸した地底軍は大阪の米軍に敵わないと判断して、
こちらが米軍を叩いている間に占領地を広げようと言うのだ。
既に地底軍は海南市を越え山岳地帯を踏破し湯浅町に達したようだ。
由良港まで目と鼻の先だ。
修復が終わらぬうちに由良港が占領されたら大騒ぎでは済まない。


和歌山市

地底エンバウーラ軍の指揮官、ヘンナタバッコー2等大将もやはり悩んでいた。
彼らの主食は杉の木である、和歌山に上陸した主目的は奈良の吉野杉だ。
ブランド材として名高いこの木を大量に手に入れようと目論んでいた。
当初の計画では大阪の米軍を撃滅し憂いをなくして奈良へ東進、貴重な春日杉を入手。
そこから南下して吉野杉の産地へ向かう予定だった。
ところが、米軍側の形振り構わぬ反撃で大損害を受け奈良への進軍どころか
和歌山市から叩き出されかねない状態に陥った。

幸い北方の真・日本国軍が京都市を占領した結果、米軍はこちらへの攻勢を手控えた。
今のうちに戦線を縮小してさっさと四国へ戻りたいところだが、
それは地底国家エンバウーラの指導者であるフライング・ホース大神官総書記が許してくれるとも思えない。
そこで現在解体中の旧日本海軍の空母「信濃」を手土産に戻れば、
今回の失敗を大目に見てくれるだろうと踏んでいた。
問題は時間である。
米軍が和歌山市に攻撃を加える前に「信濃」を奪取して撤収しなければならない。
真・日本国の戦力がどれ程のものか判らないが京都を手中に収めるくらいだからそこまで脆弱ではないだろう。



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