国会議事堂の戦い6

「仁将死す」

猫舌側の機銃掃射を躱しながら三名の大将軍が接近してくる。
岸岡と吉原居候が縦一列になり、その脇を鬼崎が走る。

「来るのか?!」
ジャーキー・チェーンが3人を見据えた。
鬼崎は懐から鉄扇を取り出しさらに接近する。
ジャーキーも慣れた手つきでヌンチャクを両手に持ち低く構えた。
「喰らえッ!」
鉄扇が弧を描き振り下ろされジャーキーを捉えようとする。
だがジャーキーは寸でのところで躱す。
更に吉原居候が腐敗した投げ味噌を投げたがこれも躱した。
岸岡の毒蛇も屈んで躱した。
「!!」
気付いた時には遅かった、背後から吉原居候の投げ味噌が直撃した。

「ジャーキー!!」
猫舌側の誰もが叫んだ。
彼は風呂戸中将の片腕として辣腕を振るい、その人柄から親しまれていた。
そんな彼に非情にも斃れる時がやって来た。
「しっかりしろッ!傷は浅いぞ!」
猫舌はジャーキーを抱きかかえ、必死に励ます。
「尻がピリピリする…」
そう言って彼は息を引き取った。
「ジャーキー!!」
猫舌の悲痛な叫びが議事堂内に木霊する。

「安心しろ反逆者共、貴様らもすぐに豆腐界へ送ってやる!ハッハッハッ!」
鬼崎は高笑いしながら2階へ消えていった。
「さっきの大口!奴等を追うぞ!早く死傷者を後送しろ!」
猫舌はジャーキーを抱いたまま鬼崎を睨みながら指示を出す。

余の特殊部隊が階段の障害物を啓開しながら猫舌達は階段を登った。


無言で余は狙撃鏡付きFN49自動小銃で敵の指揮官を撃った。
「ちょろいもんだよ」
虎臣も独り言を呟きながら英国製試作狙撃銃1型(スナイパーライフル・エクスペリメンタル・モデル1)で敵火点を沈黙させる。

2階を進む猫舌側。
突然文字に表せない叫び声が聞こえ大爆発が起こる。
壁や硝子の破片が猫舌側に降り注ぐ。
「なんだ、今のは?!」
猫舌は制帽を押えながら視線を上げた。
「猫舌とか言ったな、わざわざ中国奥地から御苦労。
朕は『亜硫酸大将軍 日本のアッティラ エコー王』だ。
ここが貴様らの終着点だ、精々踊りたまえ。」
上から目線で猫舌達に話しかける存在が居た。
原始人のような服装にカブトムシのような頭、どうも人類では無いらしい。
「王様、ここが貴方の断頭台です。」
猫舌はしれっと反撃した。
「笑止!たかが人間風情にこの朕が倒せるとでも?」
「ええ、人間を甘く見てもらっては困ります。
御喋りは終わりです。貴方の生も終わりです、構わんテェーッ!」
猫舌の命令が下り各自発砲する。

これで決着がつく筈だった。
だが、エコー王は目の前で小爆発を起こし弾丸を弾く。
また文字に出来ない叫びが聞こえ爆発が起こる。
続出する死傷者、低下する各隊の戦闘力。
「ぐっ、このままではここで消耗してしまう…」
最初は自信満々だった猫舌はだんだん青ざめてきた。

虎臣は不意に肩を叩かれた。
「虎臣、このままだと外道川の世が続く事になる、捨石覚悟で一つやってみないか?」
榛名と勝乃は虎臣にそれぞれ白い星が描かれたペンダントと年代ものの鉄十字勲章を見せた。
意味を理解した虎臣も直方体の石が付いたネックレスをだした。

3人は戦闘で混乱が続く中、物陰に隠れた。
そして精神を集中して思いを込める。
眩い光が2階を覆った。


「鉄と火薬の『元』魔法少女 ロイヤル・タイガー、アピエレンス」
英国の近衛兵の上衣を着て赤い線の入った黒色のロングスカートを穿き、
ベアスキンを被った金髪金眼の女性が軽機のような銃を持って現れた。

「理想と大義のウォーリア、ジャスティス・ヘイゼル 見参」
ハシバミ色の髪と瞳にエポレットの付いた青色の赤詰襟燕尾服に
シャコー帽を被り白色のタイツを穿いた女性が立っている。
彼女はM1ガーランドに箱型弾倉を付けたような銃を持っている。

「鉄と血の伯爵、カイザーリヒ・マリア アウフトレーテン」
緑色に赤詰襟のプロイセン軍近衛狙撃兵上衣に白色のミニスカート、
そしてピッケルハウベを被った黒髪黒目三つ編みの少女が立っていた。
彼女も金髪金眼の女性とは違う軽機ような銃を持っていた。

「どっかで見た顔なんだが、思い出せん…」
猫舌は3人を見て何かを思い出そうとしたが諦めた。
「一人は英国兵ぽいな外道川の支援に着たのか?」
「オードナンス・アドミラル、訳あって貴方達の味方をします」
「そ、そうか。(同時にこれ以上変なのを相手にしなくて良かった…)」
「下がってください」
「ああ、分かった、全員下がれ!」
猫舌の号令に合わせ負傷者を抱えて下がった。


「なんだ?小娘共。朕と遊びたいのか?」
「一緒に踊りましょう王様。弾幕の中で!シン・レッド・ライン!」
タイガーがそう叫び、大勢のタイガーと同じような服装をした集団があらわれ銃を放つ。
鉛玉がエコー王に向けて大量に飛来する。
それを弾こうと構えた時
「マ・デュース!」
ヘイゼルが叫ぶと小銃はM2BMGに変り火を吹き牽制する。
「ゼーゲ(鋸)!」
そしてマリアも叫び銃がMG42に変わり弾幕がエコー王を包んだ。

かみは バラバラになった。

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