国会議事堂戦14

「戒石銘碑文」


ついに国会議事堂9階…外道川のいる部屋に着いた。
「外道川、首は洗ったか?年貢の納め時だぞ」
部屋の奥に黒革の座椅子に座っている部屋の主に猫舌は訊ねた。
「来たな八つ裂き魔、麻呂より野蛮な男猫舌!」
「野蛮?ただ冷酷なだけだ」
猫舌は近頃見せていなかった冷酷な眼差しで外道川を射る。
「自分で冷酷と言うか!」
「そんな事より大人しく投降したらどうだ?」
猫舌は冷酷な眼差しで外道川を射るのをやめた。
「麻呂も八つ裂きにするつもりだろ!」
「いや、投降したら八つ裂きはやめても良い」
不意に猫舌は遠くを見るような眼で答えた。

「信じるものか!昔子供を拉致された時、
怒り狂って敵の指導者を八つ裂きにした事を麻呂は覚えているぞ!」
「ああ、三里塚戦争か懐かしいな。
まあ、あの時は『大人しくしなかったら子供を殺す』とまで言われたからな。
今回は…戦闘で殺そうとした事は不問にしよう、何分戦争中だからな」
「騙されんぞ!うぉぉぉーーーッ!」
猫舌の言葉を信用出来なかった外道川は雄叫びを挙げて変身しだした。
「ああ、やっぱりこうなるのか…儂も随分信用されてないのう」

外道川は見る見るベアメタルのロボットになった。
「フハハハ、これで貴様らは麻呂を倒せない!」
「機械化軍団の連中みたいになったな、確かに連中は拳銃弾程度じゃ倒せぬからのう」
猫舌は少し困ったような顔をして見た。
「この体は機械化軍団のものより更に頑丈だ!」
「なるほど…ならば思いっきりぶちのめしてもそう簡単には死なないな」
板橋はどうやって倒すか考え始めた。

「麻呂直々に全員纏めて豆腐界に送ってやる!」
外道川は席から跳びだし猫舌達に襲い掛かった。
外道川の武器は素手のみだったが動きが速くて避けるので精一杯だ。

「三杯いや三倍酢!」
板橋が中に液体の入った巨大な瓶を外道川に投げつけた。
瓶は外道川に直撃し中身をぶちまけた。
「臭いぞ、なんだこれは!」
強烈な臭いが外道川の嗅覚を破壊する。
「酢だ、ただしそうとう濃縮されているがな!」
「ぐぉぉー沁みる!」
板橋の説明を聞き終わる前に外道川は異変に気付いた。
強力な酢は金属を溶かし、関節に入って異状を来たす。
「今だ、小娘共!」
小娘達…もう三十路を過ぎているが、
まあ明治生まれの板橋にとっては幾つであろうと小娘である。

「悪夢のスカゲラック!」
勝乃が背負っていた巨大な両手剣…ツヴァイヘンダーを振り回し
4回斬る…いや叩くと言った方が正解か。
巨大な質量を持つ両手剣は容赦なく外道川を床に突っ伏させた。

「阿武隈鍾乳洞!」
外道川に対して氷柱のような鍾乳石が降り注ぐ。
酢で弱った金属ボディーに鍾乳石が刺さる。

「米俵ビーム!」
三春は米俵を担いで米粒のシャワーを外道川に浴びせる。
膨大な量の米粒が空いた隙間に入り込む。
「食べ物を粗末にするのは主義に反するじゃないのか猫舌!」
「安心しろ、中国で手に入れた合成樹脂製の偽米だ」
外道川の問いに猫舌は答える。

「ホットロード!」
菊代はスタームルガー・スーパーレッドホークもどきに
薬莢の長い弾薬を篭め、関節を的確に破壊する。

「ボムランス!」
余は第一次大戦の頃使われた対潜用の爆発物の付いた槍を外道川に投げつける。
爆発が巻き起こり外道川は投げ出された。

「榛名、虎臣、貴様らの祖父から儂が海軍に入る時言われた言葉を覚えているか?」
二人は無言で頷く。
「爾の俸、爾の禄は」
猫舌が呟きながら斬撃を浴びせる。
「民の膏 民の脂なり」
榛名も言いながら斬った。
「下民は虐げ易きも」
虎臣も答えながら斬りつける。
「上天は欺き難し!」
三人で声を合わせて一斉に止めをさした。

「グァァァーーーーッ!」
外道川のアーマーがパージされて何時もの腰蓑姿に戻った。
外道川は気絶していた。

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