国会議事堂の戦い13

「エクスカリバー」

国会議事堂、8階。
すでに外道川軍の兵は、逃亡すら開始しつつある。

そこに残ったのは、宇宙大将軍 鬼崎 相隣剣
ただひとりであった。

そこに、真・日本国の面々が恐る恐る階段を上って行く。
しかし、不気味な静けさだけが彼らを待っていた。

大きな広間がある。猫舌達はそこへ侵入した。
その中央に、一人の人影があった。

「…鬼崎!!」

まさしくそこに立っているのは、鬼崎だった。
和服に、西洋の剣らしきものを持っている。
「来たか、愚か者共」
「もう残っている兵もあるまい。投降しなさい」
虎臣が言う。
「仲間がいなければもう連携攻撃も使えまい」
猫舌は言った。

「笑止…俺は、猫舌椎座を殺した男だぞ」
鬼崎は、衝撃的な発言を語った。

「何っ!?」
猫舌は、驚愕した。

「数年前のことだ。この俺がコソ泥をしたお前の息子、椎座を捕らえてこの刀で斬った」
剣のサヤを誇示して、語る鬼崎。
「なんですって?」
虎臣の顔に、怒りの表情が見えた。

「今ここで俺が貴様たちを倒せば、反撃のチャンスはいくらでもある」
「なんだと!?」
板橋が言う。
「もう貴様はたった一人だ!外道川も含めても、二人だ!!」
「将さえ討てばどうとでもなる。兵は、蘇生できるしな…」
鬼崎は、広間にある祭壇を刀を持ってないほうの手で指した。
祭壇に、水晶玉がある。

「む…死人を蘇生させる術か!!」
猫舌は、それを察した。
「鬼崎、貴様は自らの弟、タカシを殺した。そして、椎座までも…!」
「俺に刃向かう者は身内でも許さん。まして、貴様の息子など虫けら以下だ」
鬼崎は、西洋の剣に手をかけた。

スラリ。
剣のサヤを床に落とした。
大きな、これまでに見たことの無い美しく、精悍さあふれる剣だ。
鬼崎が言う。
「これは聖剣エクスカリバー。都内で私が拾ったのだ」
「ム…聖剣だと!?」
猫舌が剣を見つめる。

「この剣は、凡愚が使うとタダの剣だ。しかし…」

鬼崎が気合いを入れると、聖剣が光輝く。

「ある一定の魔力を持つ使い手であれば、魔力を光波にして使うことができる。」
「なんと言う剣だ」

鬼崎の体から、大いなる闘志があふれだした。

「豊臣流剣法の冴え、見せてやろう!!」

「来るぞ!!」

鬼崎が、聖剣エクスカリバーを振い、突進してきた。

鬼崎は、かなりの剣術の使い手であるらしい。
拳銃を発射しても、剣で弾く。その剣はビームの如く光波を発して薙ぎ払うのだ。

しかも、魔術も使うらしく、剣の先から火の球を発して攻撃する。
「こいつはまた凄い!!」
板橋が投げる包丁も、次々に剣で叩き落とされる。
「貴様らも、椎座のようにサシミにされるのだ!!」
暴れまわる鬼崎。一同は、鬼崎の気迫に圧倒されるばかりである。
「さすが鬼崎!!強い・・・」

しかし、その時、ある男が8階に飛び込んできた。

「大黒!!お前は、大黒直人!!」

諜報部員として、都内に潜伏していた大黒直人であった。

「鬼崎!!貴様のウソはすでにばれているぞ!!」
「何のことだ!?」

「椎座は死んではおらん!!都内でラーメン屋を経営して、健在だ!!」
「なんだと!?」
驚く猫舌。

「椎座は仮の名を使い生きていたのだ。そして、貴様の差し向けた秘密警察も全滅だ!!」
「うぬっ!!泥棒田3世は何をしているのだ!!」
「秘密警察長官、泥棒田3世は、ラーメン屋ごと椎座を原爆で殺そうとした。お前の策略でな」
「し、知らん!!」
「しらばっくれるな!!原爆を搭載したB-29は、我々が撃墜したぞ!!」
「馬鹿な」
「私設警察長官・泥棒田3世は、捕えたわ!!」

「あ、あの役立たずが!!」
鬼崎は、激怒した。
「大黒ベヒーモス直人!!貴様と言うやつは許さん!!ウジムシ、死ね!!」
エクスカリバーを振り回し、鬼崎は大黒に斬りかかる。
大黒も日本刀で迎え撃つが、大黒の刀はエクスカリバーにへし折られた。

ガキーーーン!!

「止めだ!!大黒!!醜く死ね!!」
「うひゃあ」
へたりこむ大黒直人。

その時、へし折られた大黒の刀の破片が、祭壇に飛び、水晶玉に突き刺さった。
ガッシャーン!!
水晶玉が、割れた。そして、ものすごい煙が立ち込めた。

「な、なんだ!?」
「しまった!!」

恐れおののく鬼崎。

煙は、次第にかたまっていき、なんと、タイタンこうじGの姿を形成しはじめた。

「アニキ・・・アニキぃ~」
「タカシ!!!!!」
タイタンこうじGは、青白い顔で鬼崎をにらむ。

「兄貴、何故俺を殺したのだ??」
「うわーーーっ!!蘇生する前に豆腐霊化したか!!」
「兄貴…豆腐界へ行こうよ…」
タイタンこうじGの豆腐霊は、鬼崎へ向かい進む。
「来るな!!来るなーーー!!」

鬼崎は聖剣エクスカリバーを何度もタイタンこうじGの霊に振り下ろす。
しかし、剣はタイタンこうじGをすりぬけるばかりだ。

「兄貴…兄貴~」

「ぐわああああああああーーーー!!」

「豆腐界へ行こうよ~」

「来るな、バケモノがーーー!!」
いくら剣を振るおうとも、何らダメージが無いようだ。
そして…。
「やめろ!!」
鬼崎とタイタンこうじGの霊が合体した時、鬼崎の絶叫がこだました。
「ウンガアアアアアアー!!!」

「・・・・」

そして、ふたたび煙がタイタンこうじGから吹き出し、全てを覆いはじめた。
「ど…どういうことだ?」
へたり込んだまま頭をかかえる大黒。

そして、煙が晴れて行った時。不思議な現象が起きた。

そこには、鬼崎が着ていた服と、聖剣エクスカリバー、そして、鬼の面が落ちていただけだった。
二人の姿は、消えてしまったのである。

「なんということだ」
驚く板橋。

猫舌が、大黒に言った。
「椎座は、生きておるのか??」
「はい」
大黒は、答えた。
「都内でラーメン屋を経営しておりましたが先刻外道川の部下・泥棒田3世の部隊と戦闘になりました」
「何?泥棒田3世だと??」
驚く猫舌。
「市民の協力と、私や坂友・加藤の支援で、私設警察は全滅。原爆で店を爆撃しようとする企みも阻止しました」
「そ、そうだったとは…」
虎臣も驚いている。
「とにかく、鬼崎は倒した。あとは外道川総理だけですな」
板橋が言う。
「よし、とにかく、ここの戦いを終わらせようではないか!」
猫舌は言った。

「この剣は…前に捨てられたやつだったな」
大黒直人は、聖剣エクスカリバーを拾った。


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